自分がぶれない基本的な考え方 センシング感度の話
「ブレテない」
「自分の考えがしっかりしている」
「筋が通っている」
と言われることが多いのですが、それは、
”常にセンシング感度を調整して判断基準をしっかりと持っているから”
いきなり、変な言葉が出てきました(笑)
でも、これ、私の基本中の基本なので、ちょっとご紹介。
センシング感度の話
私が最初に就職したアメリカの医療機器の会社では、技術用語として
“Sensitivity ”(センシティビティ)
という言葉が頻繁に使われていました。
簡単に言うと、”感度” です。
Sensitivity:感じやすさ、敏感(さ)、感受性、(フィルムなどの)感光度、(計器・受信機などの)感度
これが辞書の意味。
これは機械用語なのですが、私達人間も同じだと思うようになりました。
実際私達が受ける刺激はこんな波形ではありませんが、考え方としてはこんな感じです。
青や赤のラインが、センシングの閾値。Threshold。
閾値はしきい値とか、いき値と呼ばれていて、工学系の私は会社に入社する前から知っていた言葉。
心理学用語でもあるようですね。
この閾値から飛び出ている部分(上下の矢印の部分)を、感知する、と考えます。
青い線 → 閾値が大きい = センシング感度が鈍い
赤い線 → 閾値が小さい = センシング感度が鋭い
青の線から飛びでている部分しか感知できないと、認識できる情報がとても少ないということになり、赤い線から飛び出ている部分を感知するということは、かなりの情報量を認識しているということ。
そして、こういうことを、人は自然と調整して生きているのだと思います。
例えば対人関係なら、
「許容範囲」
とか
「器」
とかいう言葉に置き換えるとわかりやすいのでしょうか。
常に感度を鋭くしておけばいいというわけではない
医療機器の設定をする際に、この感度を調整するのはとても重要な意味合いがありました。
感度を鋭くしておけば、小さな反応も見逃さず完璧なように思えますが、感知しすぎても返って誤作動を引き起こしてしまう原因になります。
さらに、常に感知する機能がフル稼働になることで、機器は消耗し、電池の消耗も早く、使用している患者さんも手術回数が増えてしまうという、大きなリスクが発生します。
だからこそ、適切な閾値を測定し、感度を調整することに、私達は神経を使いました。
そして、これは、人間でも同じこと。
何でもかんでも感知できたら、神経が参って疲れ果てておかしくなってしまいます。
そういう方も沢山いらっしゃいます。
実は、私も、物ごころついた時から、しばらくはそうでした。
でも、色々と勉強をして、経験を積むと、自分なりに調整できるようになってきたのだと思います。
そして、そう確信したことで、確固たる自信になって、生きやすくなりました。
自分の軸をしっかり持つということは感度調整を上手にするということ
「自分は、こんな仕事をする」
「自分は こんな人生を生きる」
これは、とても大切な自分の核になる部分です。
でも、ちょくちょく変わってきたり、迷ったりする事柄でもあります。
日々、変化しながら生活をしているのだから、変化して良いと思います。
でも、この変化に対して、人は恐れを抱いたり、不安になるもの。
それでも私がブレないでいられるのは、この感度調整が上手にできているから。
受動的でも、能動的でも、何かしら変化が起きて、自分の軸足が変わったら、その度に調整すれば良い。
ただ、自分のコアとなる ”閾値”を意識しておけばいい。
”ここまでなら大丈夫”
”これはダメ”
「自分はフラフラしている」とか、「一貫性がない」とか嘆くのではなく、どんな変化にも柔軟に対応できる自分の軸としての、”閾値”をしっかりと持っていれば良いこと。
例えば、希望を胸に新しい会社に転職した時。
そこでは、当然、今までと違う環境、情報など大きくて新しい刺激が沢山あるでしょう。
最初は、閾値が低く、色々なことを過敏に受け止めて、反応して、エネルギーを使って、消耗も大きいかもしれません。
でも、いつの間にか慣れてくる。
普通になってくる。
これは、日々の経験と学習で、閾値を調整して感度を調整しているということ。
そんなこと、普通にみんなやってることですよね。
そして、その経験は、着実に、確実に身について蓄積されているのです。
自分を信じて良いと思います。
この感覚をちょっとだけ意識して、「上手く出来た!」と思うだけで、気持ちが楽になると思います。
私は自分を信じています。
自分に自信があるというのとは、ちょっと違うのですが、なかなか分かってもらえない日本語。
生き方とか、考え方とかざっくりした部分だけではなく、友人関係とか、家族関係とか、ファッションセンスとか、色々な部分でそれぞれこの”閾値”、”センシング感度”は構築されていて、日々、微調整されているようです。
こんなことを、日々、無意識に意識している私でした。